鳥のように空を飛べたなら──と想像してみる。
公共交通機関にありがちな渋滞や、待ち時間が無いのは魅力的だ。
自力故に、移動費がかからないという点も良い。
人混みもなく行けるのは、さぞや爽快だろう。
ストレスなし・金銭不要・爽快感あり。
良い事尽くめではないか。
何だか、鳥が羨ましく思えてきた。
現実的な実利以外でも、
鳥というのは羨ましい面がある。
例えば、
空へ向かって鳥が羽ばたいていく──。
この一文だけでも、絵になるではないか。
文字の世界に於いてまで、意味深なカッコ良さがあるのだからますますニクイ。
人間ではなく、鳥になるべきだったのだろうか。
そこまで思ってはたと気付く。
──あ。
──自分、高所恐怖症だった。
高い所に行くと、どうしてだか目眩がする。
それだけでなく、謎過ぎるほど足がガクガクして、体にまで力が入らなくなる。
そんな状態のものが、飛ぼうとしたらどうなるか。
答えは一つしかない。
飛ぶ前から、墜落だ。
命の危機ではないか。
無理。高い所、マジで無理。
…。
どうやら、自分は鳥にはなれない。
人間という形が最適解であると再認識した。
鳥のように飛ぶことは、百年早い──
いや、死んでも無理かもしれない。
8/21/2024, 11:55:38 AM