お題 : 手紙の行方
「……ほら。」
「…え、あの、居先輩……こ、これは」
「手紙!さっさと受け取って。ほら」
「は、はい」
「それじゃ、また明日。頑張って」
「あ、が、頑張ります!」
尊敬する先輩から手紙を貰うなんて、想像もしてなかった。
きっと1年生と3年生の間でしている交流だから、私にくれたのだろう。それでも見た目も可愛く実力もありモテる先輩から、手紙をくれるとは思ってなかった。
つい先日も、1年生のチャラいやつから言い寄られているのを見たし。まさか「手紙を渡す相手がいる」という「相手」が私だとは。
なんだか凄く嬉しい気分になり、手紙を抱えてルンルン気分で家に帰った。
【 後輩の粋へ 】
【 正直、交流とかめんどいよね。なんかうるさい1年が声掛けてくるし、他に仲良い1年もいないからあんたにしといた。 】
【 3年にビビりすぎていつも吃ってるのは鬱陶しいけど。粋のこと、部活では3年より頼りにしてるんだから、もっと自信出しなよ。 】
【 粋の歌、私は1番好き。 】
【 はい、これぐらいで満足でしょ?足りない時は聞いてきなよ。あんたはいいところ有り余るほどあるんだからね 】
【 自慢の先輩 月城居 】
心が熱くなって、燃える感覚がした。
先輩は本当に凄くて、尊敬している。だからこそ、先輩の言葉が凄く嬉しい。手紙とか書いたこと無かったけど、こんなにいいものだったんだ。
その手紙を丁寧に、元の状態に戻す。
きっと居先輩なら、「なくした」と呟いてしまうと、冗談でも怒られる。なら、しっかりと丁寧に保存しておこう。
この手紙の行方は、ずっと経っても分からない。
それでも、今は心からこの手紙を大切にしたい。
そう考えた私は、この手紙を心に仕舞い、明日も頑張ろうと自分を奮い立たせた。
2/18/2025, 1:57:51 PM