孤舟蓑笠翁

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朝、街の景色は、薄い幕のようなもので覆われている。一見すると雨は降っていないようだけれど、家の窓から手を出すと、ちょっと冷たく、不思議な優しい感触がして手のひらが濡れる。今日も雨かぁと、全く自分勝手にがっかりする。農作物の実りのことまで頭が及ばない。田んぼで鳴くカエルたちのことも思わない。
スボンの裾を濡らせたり、たたんだ雨傘を持って通勤電車に乗るのは気が滅入る。
子どもの頃は、傘もささないで、友だちと一緒にでこぼこの土の通学路の水溜まりにわざと長靴を入れながら、学校に通っていたのに。あのころが懐かしい。

6/1/2024, 11:31:41 AM