Ryu

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鏡の中の自分は、本物の自分なのか、それとも偽物なのか。
本当の自分を映してはいるが、鏡の中に自分はいない。
そこにあるのはただの板。
本物はここにいる一人だけだ。

朝起きて、鏡の前に立った。
何か、違和感。
右目の横にあったホクロが、鏡の中では左目の横に。
いや…鏡に向かって見れば右側にあるが、あれは私の左目じゃないか。
あれは本当に私なのだろうか。
それとも、あれが本当の私なのだろうか。

矜羯羅がる。
鏡の中の世界はこちらと何ら変わりはないのか。
左右対称なのは既知のものだとしても、例えば色は?
動きが少し遅れたりすることはない?
違うタイミングで瞬きしたり?

そんな妄想。
ある訳のない妄想だが、鏡の中の世界のことなんて、誰が知り尽くしているというのか。
その鏡に向かって突進してみたところで、粉々になって血まみれになるだけ。

だからそろそろアホな妄想はやめて、顔洗って歯を磨いて仕事に行こう。
今日も一日、頑張るぞ。

…あれ?今、鏡の中の自分が、サムズアップサインを送ってきたような…てか、お前も俺なんだから、一緒に仕事に行くんだよ。
他人事みたいな顔すんな。

11/3/2024, 3:27:33 PM