題 夢と現実
ねぇ、オトナになったら何になる?
そうだなぁ、ケーキ屋さんかお嫁さん!!
そんなセリフ幼稚園で言ってたっけ。
可愛かったなぁ。
大学の講義の帰りにクスリと一人で笑う。
広々としたキャンパスと青い空を見て思う。
私は今、あの夢ってどうしたんだろう。
ケーキ屋さんなんてなったとしても時給低いし、お嫁さんなんて、それこそ収入安定しないと、子供だって作れないし、結婚なんてまだまだ先だ。
夢になんて出来ないと思う。
こんなに現実的思考になってしまった自分に一つ小さいため息をつく。
もっと自由に生きられたら、私、ケーキ屋さんになってたかな?
ショートケーキやスポンジケーキ作るパティシエの専門学校に行って、今、目を輝かせてお菓子作りしてたかな。
それとも、付き合ってる彼氏と結婚のことを話して、何年後には結婚したいね、なんて情報誌見ながら話してたかな。
私、今は経済学部で勉強してる。
親がケーキ屋さんなんてだめだって専門学校行かせてくれなかった。
結婚だって・・・今彼氏がいない私にとっては夢の夢物語だ。
はぁぁ。
大きなため息が出る。
経済の勉強はためになるんだろう。
そうだね、現実を生きるならそれが正解なんだろう。
でもね、私は必ずしも正解を求めてはいなかったんだよ。
親の正解のまま生きていたかったわけじゃないんだよ。
私の夢は宙ぶらりんなままだ。
分岐した道にはもう戻れないのかもしれないけど・・・だけど、確かにそこにあった選択肢。
選べなかった未来を思ってもう一度大きなため息をつくと、私は大学の門をくぐって帰路へとついた。
12/4/2024, 4:09:23 PM