今朝、バス停へ急ぐ道すがら、近所の畑の土が、うっすらと白いものを纏っているのに気がついた。霜だ。霜が降りている。近頃朝晩は冷えるなあ、とは思っていたが、もう霜が降りるような寒さが来ていたとは。私はその霜を見て、いっそう寒くなった気がして、マフラーに顔を埋めた。
バス停に着いて、フルフルと小さく震えながら、バスを待った。近くの街路樹から落ちた赤茶色の葉が、冷たい風に流されてカラカラと音を立てていた。
この時期は、今からこんなに震えていて真冬を越えられるのかと、毎年心配になる。毎年何とかなっているから今の自分がいるのだが。
まもなくバスがやってきた。乗り込んだ私は、幸運にも、席に座ることができた。暖房の熱が足元から感じられる。じわじわと暖められて、ホッとした。
やがて、ふわふわと眠気がやってくる。降りるバス停まで寝てしまおうと、私はその眠気に身を委ねた。
それから10分と少し経った頃、車内アナウンスに気づいて、降車ボタンを慌てて押した。降りるバス停は次だった。
会社の最寄りのバス停に着き、私はバスから降りた。途端、寒さがまた襲ってきた。マフラーに顔を埋め、ポケットに手をつっこんで、少し猫背気味で、会社への道を早足に歩いた。
もっともっと寒くなったらイヤーマフと手袋も着けないと生きていけないなあ、と思った。
会社に着いて、着替えに入ったロッカールームは、暖房で暖められていた。ロッカーを開けて、マフラーとコートをハンガーに掛ける。
ロッカー扉の内側に付いた鏡に映る自分は、始まった冬の寒さに沈んでいた。両頬を軽く叩いて、気合を入れる。さあ、仕事だ。
冬のはじまり。今朝はこんな朝だった。
11/30/2024, 9:22:45 AM