星から人の運命を読み解く一族がいた。
星図から読まれる運命は、時には幸運を招き、時は悲劇を呼んだ。
だが、新月の闇がすべてを覆い尽くした夜。
星々の輝きは忽然と失われてしまった。
代々守られてきた秘術は効力を失い、星図に描かれていた星々の名も一つ残らず消え失せた。
それは、世界の終焉の始まりを告げる鐘だった。
堕落する事を選択し、自ら思考を放棄した人類への遅すぎた報い。
緩やかなに動き出した破滅は、誰にも止められなかった。
星読の一族の娘は、事態を嘆き涙を流した。
「人は選択を誤った。……また一から創り直さなくては……」
____世界の滅亡を回避する為に作られた最期の箱庭。
それが、この世界の真実であることを誰も知らない。
#消えた星図
10/16/2025, 10:40:49 AM