刹那
その刹那目の前が真っ暗になった。
これで終わったんだ。。
俺は最高のクソ野郎だ。
うちのクラスには宇野ってのがいたんだ
そいつは素直なのか天然なのかわからんが
誰にでも愛想良く優しく可愛げのあるやつだった
だが、それをよく思わない奴がいたんだ
そんなかのリーダー的なのが嶋田って奴だ
嶋田は、宇野に課題をやらせたり、奢らせたり
嫌がらせをしてたんだ
だが、宇野はそれを怒りなんて少しもなく
笑顔でやってきたんだ
それがあいつの癪に触ったんだろう
"いじめ"がエスカレートしていったんだ
教師も他の奴らも見て見ぬふりをしてたんだ
自分が絡まれたら溜まったもんじゃないと考えたんだろう
だから、誰も助けない
ある日あいつは宇野の机にスノードロップを置いたんだ
あいつの取り巻きはニヤニヤして
あいつ自身も笑ってやがる
宇野は、それをみた時笑ってたんだ
だが口角は上がってても目は絶望や哀しみのような
悲しいものだった
その日から宇野は学校を休む日が増えた
それでもあいつらは物足りないのか
宇野の家にまで嫌がらせをしたんだ
それを楽しそうに語るあいつらを
俺は許せなかったんだ
ある日宇野が来た時についに殴りやがったんだ
宇野は痛がりながらもなんも言わない
まるで何かに取り憑かれてるように
それをみてもう、耐えれなくなった
俺は暴れた
この事件は全国ニュースになった
〇〇県△△市の◇◇高等学校で
男子生徒が同級生2名を殺害
5名が重症、3名が意識不明になりました。
被害者10名。加害者の男子生徒は逃走中
俺は無我夢中にやった。
やってやったんだ。。。
だが、世間的に許されることではない
俺は駅員のいない人気の少ない駅に来た
ここの電車が止まってもせいぜい10名程度しか困らないからである。
電車の光が近くなってくる
時刻は亥の刻になっていた。
もう終わるんだ
そう思った時
「ねぇ」
ある人が声をかけたんだ
振り返るとそこには宇野颯が飄々と立ち尽くしていた
「ありがとう。
最後にこれあげるよ
そうやってある花を渡してきた。」
俺は一瞬思考が変わったが意思は堅かったようだ。
「ありがとう。大切にするよ。
このオダマギと現世(こっち)を後にするよ。」
最後にあいつは屈託のない笑顔をしたんだ
そうかよ。。
これで終わりだ
そう思い一歩前に出た。
スノードロップの花言葉は
「あなたの死を望みます。」
オダマギの花言葉は
「愚か。」
颯の意味は「きよらかなさま。」
4/29/2024, 8:29:58 AM