夜の海に来ると、寂しくなるのは何故か。
暗闇の中にぽつんと独りぼっちになってしまったかのような、勘違いをしてしまう。
夜の凪いだ風を感じていると、ふと思ってしまう。
………いや、そもそも凪いだの意味もわからず使っているな。
まるで詩人のようになってしまうのも、夜の海の効果だろうか。
朝は地平線から太陽が登り、夕方になると日が落ちていく。
ここはそんな動作を何十、何百年と続けている。
彼は地平線を見つめ、宇宙やらなんやら普段は考えないような思考に耽っていたが、そうさせてしまうのも、夜の海のせいだろう。
足元には少し冷たい塩水がぶつかってくる。
耳には波のさざめきが刺さってくる。
こんな薄汚れた感情さえ、夜の海のせいにできれば良かったのに。
8/15/2024, 4:17:33 PM