「ごめんね、僕…君とは一緒に行けないんだ」
「…え?な…んで…?」
逃げ出している最中突然兄弟がそんなことを言い始めた
忙しなく警報が鳴り響く山奥のいかにも怪しい研究所、ここではクローン技術や人造人間の研究所が行われている
「ねぇっなんでなの?一緒に逃げようって!ここまで来たのに…!」
「…ごめん…もう僕には………君だけでも逃げて」
「そんな…なんでっじゃあなんで僕には付いてないのっ?」
僕とその前2つの兄弟は近い時期に作られた
もちろん見た目は瓜二つどころか違いを探す方が難しい
ただ、1つ前の兄は生きているのか死んでいるのかすら分からない
一緒に逃げようと言い出した2つ前の兄
残っている中で1番年の近い兄が僕に発した衝撃的な言葉、それは
「僕にはもう、処理のための爆弾が取り付けられている」
兄が言うには起動されてから1週間、脳内プログラムの年齢的に違和感を覚え始める頃に反乱防止のため爆弾が付けられるらしい
それでオリジナルを殺されたらたまらないからだそうだ
生憎、製造日は近くても
僕が起動されたのはちょうど1週間
そう兄が今日逃げ出そうと言ったのは僕を守るため
今日爆弾が取り付けられる予定の僕を
奴らから守るため
嫌な警報音が頭に響く
奥で他の兄弟が焼かれているのだろうかあの嫌な臭いが鼻を刺す
あぁなんで感情があるのだろうか
感情なんかなくたっていいのに
「ごめんね、最期にお兄ちゃんって呼んで?」
「っ、ごめんねっお兄ちゃんっ」
「…ありがとう、きっと幸せに暮らすんだよ?」
どうする事も出来なかった僕は泣きながら走り出し力尽きていたところをおじさんに救われた
そんな僕は今、警察をしている
「ねぇ、お兄ちゃん必ず仇はとるから、きっと遅くなっちゃうかも…ごめんね」
「もうごめんねはいらないよ…ありがとう」
そう同じ声が聞こえた気がした
5/29/2024, 10:40:31 AM