『廃れた庭より』
久しぶりにこの鉄を触った率直な感想は、細い、であった。あの頃は十五分という時間で充分に校庭遊びを満足できたけれど、今ではそんなことができる自信はない。デスクワークばかりの出不精では頂上まで登るのが精一杯だろう。
そもそも、この鉄の頂上になにがあるというのか。この高さでは達成感なんてものはないし、頂上に限定しなくとも鬼ごっこをする相手もない。筋トレの道具にはなりうるかもしれないが、私にはそんな技術も知識もない。
それでも、一応登ってみようと思った。たった三メートル上からの廃れた景色に、私には想像のつかないなにかがあるかもしれないから。あるいは、思い出せるかもしれないから。なにか大事なものが。
――ジャングルジム
9/23/2024, 11:25:57 AM