手放した時間
君のことを想う時間を手放した
―――つもりだった。
好きになっちゃいけない人なんていないはずなのに。
誰を好きになろうが自由のはずなのに。
「彼女がいる」と聞いただけで悪いことをしている気分になる。
好きなだけで、告白するつもりもないのに。
周りの目も気になるし絶対に友達に相談なんかできない。
だから、忘れようとした。
存在事態を忘れることはできないから、せめてそれ以上好きにならないように距離をとろうとした。
目を合わせないように、君を探さないように。
それなのに…君は私の気持ちも知らずに話しかけてくる、関わろうとしてくる。
どうして…?
知ってるよ。
君が私のこと「推し」にしてたの。
他の女子と対応も話しかける回数も明らかに多いから。
君の特別になりたい私にとってそれは嬉しいことだけど、
とても複雑で、苦しくなる。
君に話しかけられる度に、嬉しいと苦しいの感情がぶつかり合ってうまく笑えない。
2日間話してなくて、いい感じに離れられてると思ってたのに。
「○○!ナイスショット!」
部活で急に声をかけられた。
しかも、褒められた。
点を決めた私以上に喜んだ顔をして。
集合写真のとき全然笑わないくせに、こういうときだけ見せる笑顔がずるい。
私だけに見せる笑顔であってほしいなんて彼女でもないのに思ってしまう。
本当にずるい人。
彼女がいるくせに、私を推しにして、私の心まで奪って、普段見せない笑顔まで見せて…。
好きになんかならなきゃよかった。
手放したくても、手放せない。
いや、手放したくないんだろうな。
11/24/2025, 8:37:54 AM