暉士

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坂がある。上り坂だ。
歩くのは辛い。けれど、上り坂があるということは、下り坂があるということだ。だから頑張ろう。

上っているとき、ふと思った。
「坂を上っているその瞬間、同時に下っているのではないか」と。

上り坂があるということは、下り坂がある。
ならば、上り坂を登っているとき、それと同時に、どこかの下り坂を順調に下っているはずだ。

もちろん、下り坂を下っているときは、どこかの上り坂を登っている。

何かをしているとき、私たちは常に、それと対になることをしている。

必死に生きようとするその瞬間に、
同時に、確実に死に向かっている。

腹を満たそうとするたびに、
次の空腹を、着実に準備している。

上り坂を上ることは、
どこかの下り坂を、すでに終わらせているということだ。

不条理。矛盾。双対。

常に、この世はそれらの重ね合わせでできている。

そして私は今、
上っているのか、下っているのか、
もうよくわからないまま、ただ前に進んでいる。

3/18/2026, 3:55:19 PM