名無し

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きらめき

流れ星とは一瞬だ。
いつの間にか現れて、
瞬きする間なく過ぎ去る。
でも、その過ぎ去る瞬間までがまるでスローモーションの様に見える。
あの時僕達が出会ったときもこんなふうだったと思う。たまたま君は転校してきて、
たまたま君は僕の隣の席に座った。
そしてたまたま僕と仲良くなった。
全て偶然だったのかも知れないし、
必然だったのかも知れない。
君が何も言わず急に転校していったことも。
転校する前日、二人屋上で話をしていた時、君は急に言いだした。
「私、君のことが好きなんだ。」
その時はただただ嬉しかった。
だけど、君は
「返事はいらないよ、友達だから。」
と言った、泣きそうな顔で、言い聞かせるように。
君は、父親の仕事の都合で何度も土地を転々としていて、友達が居ないと言っていた。
だから僕はあの日友達になった。
僕は、友達という関係に甘えてたのかもしれない。
君だってそうだったと思う。
友達だって言い聞かせて、いつかまた転校する時が来ると分かったうえで友達ごっこを続けてた。
だけど、今考えたらそれで正解だった。
そうしてくれて、良かったんだと思う。
だってこの先一生会えなくなる相手に好意を伝えても、苦しくなるだけだろうから。
僕達は偶然出会っただけで、
ただ一瞬の一目惚れだっただけで、
いつかは流れる星に夢を抱いていただけだった。
そう言い聞かせて、心を捻じ曲げようとしても、涙だけは止められなかった。


9/4/2024, 3:00:11 PM