ストック

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顔を上げると、窓越しに見えるのは煙草を呑む貴方の姿。
雲ひとつない青い空の下、紫煙がまっすぐに空へ上っていく。
まったく、皆が貴方を待っているのに、いつまで休憩してるつもりなんだろう。

文句のひとつでも言ってやろうかと、席を立って窓に近づく。
窓に手をかけ、貴方の顔を見たときに初めて気づいた。
貴方の瞳から一筋の涙が流れていることに。


…ああ、そうか。
今日はあの日からちょうど1年。
私が、この世界に、貴方の前にいられなくなってしまってから1年経った日だ。


黒い喪服を着た皆は、貴方のことを探してる。
貴方は戻らずに、一人で煙草を燻らせている。

ごめんね。貴方を悲しませてしまって。
ありがとう。そんなに私のことを想ってくれて。

姿が見えなくても、声が届かなくても、私はずっと貴方の幸せを祈っているよ。

7/1/2023, 11:01:30 AM