「…引っ越し?」
「うん、結構遠くに行くことになっちゃった」
平然とした態度で、隣にいる親友__トモコは事実を伝える。
引っ越し。意味がわからない。何故そんな平気そうなのか。
悲しくないのか。私が嫌いだったのか。
(否定したいけど、否定できない。トモコも、こんな私に愛想が尽きたのかな)
「__楽しかったよね、色々」
(何で今さらそれ言うの)
「……そうだね」
「二人で買い物に行ったときはさ__」
それからトモコは、思い出を話し始めた。止まることなく。
(…速く、どっか行けよ)
ふと、あることに気づく。
トモコの語る声が段々頼りなくなっている。
そして、最後には、「ごめんなさい。ごめんなさい」とすがりつくように、私に謝る。
「ほんとは、引っ越し、なんか…行きたく、ないんだ。ユミと、一緒に、いたいよ」
__友達との最後の思い出。
7/6/2023, 9:15:06 PM