一緒に歩く帰り道で、君はよく鼻歌を歌っていた。
なんの曲だかは結局最後まで教えてくれなかったから、それがどんなメロディーだったかも、もう正確には思い出せないけれど、君が心地よさそうにそれを歌っていたことは、今でもよく覚えている。
人と話すことが苦手だった私は、不器用で、誰かといるといつも何も話せなくて、何より相手に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも君の鼻歌は、そんな静寂すら楽しんでくれているかのような、そんな優しい響きだった。
こんな静寂が好きになれたのは、きっと君が最初で、最後だ。
6/14/2025, 7:33:30 AM