—広がる焔—
ベンチ裏の控え室で、皆、帽子を深く被り涙を流していた。
春大会予選の決勝戦。この試合に勝てば県大会への出場権を手に入れる事ができたのだが、惜しくも敗れてしまった。
鼻を啜る音と道具を片付ける音が、部屋の中に広がる。
そんな中、一人の男が立ち上がった。
「お前ら泣くなよ!悔しいけど、まだ夏がある。気持ち切り替えて、次は絶対勝つぞ!」
キャプテンの京田だった。京田の目も赤く、涙の跡がくっきりと見える。
その言葉に応えるように、仲間の表情に、少しずつ光が戻っていった。
キャプテンの焔がチーム全体に広がり、やがてそれは一つの炎になる。
夏大会に向けて、チームの想いは、確かに一つになっていた。
お題:消えない焔
10/28/2025, 4:55:37 AM