シロツメ ナナシ

Open App

『靴紐』


不器用ってのもある
そんな自分が
人生 序盤のBOSSと言っても過言ではない

それが 靴紐

あまりにむすべ無さすぎて
一時期はマジックテープの靴を
買ってもらうことを懇願したことさえある

その時 歴史が動いた

親は 靴紐を買った
そこからは毎日……
泣きながらの修行の日々

まずは紐を結ぶことそのもの
いや……もっと前の段階だ
そもそもその時の自分には
「結ぶ」と言う概念が存在しなかった
紐で「そういう様子のもの」は
全て「絡まってる」んだと思ってた
紐を交差させて下や上から通して
この時初めてから結びを知り、
同時に「結ぶ」と言う概念の種が目を出した

ここからがさらに
地獄に突き落とされる……

新たなる派生の概念…、
「リボン結び」

まさに
訳が分からなかった

輪っかにする?
バッテンにする?
さっきまでの「結ぶ」ができてるよ!?
……なのに、また「結ぶ」の??
しかも違う方法?

投げ出したい……
逃げ出したい………
だが逃げられない………


そこから更に
自分との戦いが始まった―――


靴と向き合うと、
結べるようにはなったのだ

だが……
できるようにならなければならないのは

そう、靴を……履いたままで
リボン結びが出来なければならない
教わる向き? 利き手の関係?
鏡にやって見る?やり方が逆?

合わない意思疎通を
これでもかと、これでもかと、

お互いに泣きあいながら……


そして、ついに……


できた!

見事な輪っか!長さも均等!
バランスの良さ!完璧!!


…………………ん?

……む、……向き?

……輪っかの??


……それは、縦になっていた




もういやーーーー!!!!!


泣いてやるーーー!!!!!!!!



―――――――――許されなかった


〜シロツメ ナナシ〜(記憶体験記)
258

9/18/2025, 5:07:01 AM