Open App

透明な眼差しがひとつ瞬いて
ふぁとやわらかくたわむ
伸ばした手を確かに追って尚
へたりと座り込む四肢は動かない
「……ごめんね。やっぱり、嘘ついた」
両の手で握り込む首筋
気道が歪み血管が高らかに
それでも尚それでも尚
ぶら下がる掌が打つことも
投げ出された脚が蹴り上げることも
歯をむき出して放つ悪辣も
解かれて程涸れて
全て認識しない瞳ばかりが美しい
「生きてるだけ、じゃぁなんにもならないね」
平和に揺れるうたかたに
心ばかり平穏と程遠く

‹澄んだ瞳›


風が奪い取り
雨が撃ち付け
雷が焼き貫き
闇が駆り立て

荒れ狂う自然を
容赦無い破壊を
僅か明るいだけの窓から覗く時

青く晴れ渡る空と同じ程
白く吹き荒ぶ雪と同じ程
染まり欠ける月と同じ程

私の胸は高鳴り
鼻歌も出るほどの歓びを覚えている

‹嵐が来ようとも›

7/30/2024, 12:25:33 PM