やけにしつこい、まるで夜まで続く真夏の様な人だった。
どれだけ振り払おうとも付いてきて、どけだけ報われなくても想いを吐いてくる。こちらの話を聞きたいが為に墓場まで持っていくつもりだった話まで暴露する始末だった。
独りでいる気なら一緒に暮らそう。そうだ、今度江ノ島に旅行でもしようよ。なんて言っていたっけ。
そのわりにあっさりと衣替えしていったな。まあ、そちらの方が着心地が良くなったのなら仕方ない。
ひとつ、後悔をあげるならば、あの時あの瞬間の自分の表情をやり直したいかな。いつも通りの歯に衣着せぬ態度で適当にあしらえれば良かった。きっと、もう、箪笥の奥にでもしまって忘れているだろうけど。
これからはせいぜい新しいものを買い替えていってくれ。
こちらはずっと、暑くても寒くても長袖を着ているよ。
10/22/2024, 11:13:32 PM