【星明かり】
産まれて初めて1人きりになった、
病院帰りの夜道。
どうにも心細くて、下ばかり見て歩いてた。
いつもなら、左に必ず家族がいるけど、
そのいつも隣にいた人が、倒れたからだ。
普段なら、みんなと一緒にいる夜道は、
みんなと一緒だからか、怖くなんかなかった。
でも今日はいない、一人で帰るしかない…。
ただ帰るだけ…空だってこんなにも
綺麗な星明かりなのに、妙に怖い。
多分これもきっと、1人だからだ。
みんながいないだけで、夜道を帰るのが
こんなにも怖いものなんだなと、実感した。
それと、同時に、
前を見るのも後ろを見るのも怖くてしょうがない、
下を向いて歩くしか出来なくて、
重要な時だけ顔を上げる…そんな歩き方をしてた。
そんな時、帰り道で人とぶつかった
いつもなら、簡単にすいませんって謝れるのに、
謝ろうと思っても、声も出なかった…
その瞬間思った、
普段当たり前のようにそばに居る人が、
居なくなるかもしれない…
そんな状況に陥った瞬間、
今の現状が、自分が分かってないだけで、
自分の中でどれほど大切で、
どれだけかけがえのないものなのか。
そんな窮地に陥るとやっと気付く事、
それが自分が1番失いたく無いもの、
失うのが怖いものだと私は思う。
4/20/2025, 3:14:28 PM