せつか

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「十分に発達した科学技術は魔法と区別がつかない」
とある本に書いてあった言葉だ。

もし私が生きているこの世界の常識がすべて嘘で、真実が何もかも隠されたままの世界で生きていたのだと知ってしまったら、私は何を信じて生きればいいのだろう?
電話が通じるのは電波が飛んでるからではなく、私の声を小袋に詰めた妖精が猛スピードで相手の元に飛んでいってるから、だとしたら?
病気が苦しいのは小さな悪魔が体の中で暴れているから、だとしたら?

「·····あれ?」
そこまで考えて、立ち止まった。
私の世界、結局あまり変わってない。
電話が通じる理由も、病気が苦しい理由も今の常識とあまり変わっていないじゃないか。
理屈はどうあれ、その科学か魔法か判然としない私には未知の力で、私の世界は回っている。どちらにしても電話は相手に声が届けばいいし、病気は苦痛が無くなればいい。

魔法も科学も、結局は〝使う者次第〟ってことなんだ。


END


「魔法」

2/23/2025, 3:59:11 PM