きっと明日も
「今日はオレンジの六芒星。なかなか上手くできた」
友人はそれを夕陽に翳した。数センチの大きさで、材質は石でも金属でもない謎の物体だ。コアと奴は呼んでる。角度によっては赤橙色に輝くが、その形はいびつで、宝石と比べればよほど見劣りする。何のためのもので、どんな価値があるのかはわからない。
「どう?」
「どうって言われても、わかんねーよ」
「だろうね。僕もよくわからない。でも、まだまだ」
友人は毎日コアを作る。どこかから見つけてきた謎の塊を砕いて練り合わせ、最後にコアとなる部分を削り出す。その工程には繊細な技術が要求されるらしく、彼は日々その腕を磨いている。
「それ何個目だよ」
「もう数えてない」
「よく飽きずに続けられるよな」
「まあね」
こいつはきっと明日も新たなコアを作るのだろう。たとえ世間的に価値がないものだとしても、やめようとは考えない。
「いいよなぁ」
「ん? 一緒にやってみる?」
「そんなガラクタ作ってるほど暇じゃねぇよ」
だよねぇ、と笑う友人が、とても羨ましく思えた。
9/30/2024, 5:07:31 PM