詠み人知らずさん

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鏡の中の自分は案外汚い
いつも外では優雅に躍り回る自分が
いつも心に思い描いてた自分が
この一瞬でくだけ落ちた
シンデレラは鏡を見た瞬間どう思ったのだろう
か、
白雪姫の継母は現実を知って何を考えたのだのろうか

その事実を知った瞬間何もかもがいやになった

シンデレラは悲しくなった
継母は白雪姫を殺そうとした
自分中心の世界が叩き崩れた

優雅に躍り狂う蝶も
少女漫画に出てくる偽顔も
魔法が溶ければ全て消えた


「今日ね、合コン行かない?」
あぁ、だるいったらありゃしない
どうせ、引き立て役だ

「もーモテちゃって大変でさ」
何アピール?

「何でこんなことするの?」
、、、「あなたが嫌いで憎いから」

わかってる、じぶんがいけないって
ただの負け犬の遠吠えだって
ただ自分が憎くて
その環境が羨ましくて
整形しても
お化粧しても
その人のように振る舞ってみても
結局はあなたみたいになれないって
それは完全なる偽物だって

どんなにすごい魔法をかけても
鏡を見れば偽物だってばれてしまう
本物は本物だって
だから偽物は偽物だって



どうせ、心も壊れるなら、さらに見にくくなるなら

「鏡よ、鏡」
私は血まみれになった手でそっと触れた
「世界でいちばん美しいのはだぁれ?」
嘘をついてくれたっていいじゃない
「それは貴方ではありません」
「それは、、「もういいよ、、、、」
鏡はいつでも正直
例え立場が不利になっても
正々堂々胸を張って戦ってる
彼女はフッと微笑みを浮かべた
「私は、、、あなたみたいになりたかった」
「正々堂々胸を張って、、、戦いたかった」
「そしたらいつか私も、、、」
「受け入れられたかな、、、現実と、、、、私を」
彼女の手がバタンと落ちる
脈動がゆっくりと止まる
彼女の息が和らいでいく
でも、時は進み続ける
「いちばん美しいのは、、、、」
「泣き崩れても、がむしゃらに戦っているあなたの姿が綺麗で、、輝いていた」
「他の何よりも、、、」
鏡はそう呟いた瞬間
悲しそうに彼女を写した
この世でもっとも愛する彼女を

11/3/2023, 6:07:50 PM