るい

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もう一つの物語

 私がもし,もっとずっと前に生まれていたら勉学に励むことができただろうか。

 法律がない頃に,私たちの祖先はその多くが農民として学舎に行く機会を失っていたと聞く。だがその中には,その逆境をものともせずに,学ぼうと国を変えようとする人がいるという歴史を私達は知っている。私もそのような中で生を受けたのならば,学ぼうとする姿勢が今より強かったのではないかと考える。

 今の私は,夢がなく目標も無い中,「いつか働く」その日に備えている。だが,今まで必死に一つの目標を追いかけ続けたあの人には,決して届くことはないのだろう。もっと早くに,医者になりたい,警察官になりたい,宇宙飛行士になりたい,スポーツ選手になりたいと思えたら,どんなに良かったのか。

 いくら,「もし」を言っても何も始まらず,時間だけが過ぎてゆく今日に,私は目標も持って歩むことができたのだろうか。

 それでも人生の暇つぶしには「労働」は欠かせない。理不尽が多い可能性もあるが,他者と関わり合いを持たなければ生物として私は死んでしまうのかもしれない。

10/29/2023, 1:08:31 PM