「……私、死んじゃうの?」
私の手を握りしめて離さない彼女に問いかける。けれど、彼女の目からまだ溢れてやまない涙が返事を邪魔している。
パラレルワールド。なら私は、私自身がどんな行動をしても、彼女がどんな行動をしようとも、私は全ての世界線で、今日、死に至る。
「なら、私がここにいれば死なずに済む?」
「………ううん、私がずっと貴女の隣で寝てたのに、貴女は窓から飛び降りた。二階とは言え、当たりどころが悪いと死ぬ。なら先に起きて貴女を見ていたら、貴女は自分で首を絞めてた。またある日、私が起きると貴女は椅子に座って本を読んでた。…衰弱死。ただそこで寝てるだけだったのに」
彼女の口はまだ動く。
「方法を変えてみようと思って、LINEで貴女を呼んだ。でも貴女は帰ってしまって、母親に殺された。また別の日には、私が起きた時にはもういなくて、家に帰った貴女はショックで突然死。……いったいどうしたら救えるの?」
私はその話を聞いていて不可解なことがいくつかあった。彼女が生きた世界の何度かで私は自死をしている。なにより、本を読んでいて衰弱死?一体どうして。
「本当に私の死因はそれで合ってるの?」
「……わからない。貴女が死んだら、私は世界を飛ぶから」
「飛ぶって……なら、私はこの世界では自我を持ってるし記憶もある。ずっとここにいて、今日を生きてみせる。終わりにしよう」
「………」
どうして世界は彼女を必ず今日殺してしまうのだろう。あの日、彼女の母親が私の家に乗り込んで彼女を刺し殺した。なら、と私は決めた。彼女の母を消してしまえばいい。今度こそ、きっと、終わりにしよう。
【終わりにしよう】
お題が更新されるごとに進む物語No.7
7/16/2023, 1:42:01 AM