光と影
光があるからこそ影は生まれる。光に満ちた世界に囲まれて笑うあの人の背に隠された自分がうまく笑えていなかろうが誰も気にしない。
「あんな良い人と付き合えて幸せだね。」
彼の光に惑わされた人たちが幾度となく自分にかける譫言。そんな人たちに曖昧に返していると、決まって彼が自分の肩に腕を回し、何を話しているのかと笑顔で尋ねる。はじめは嬉しかったスキンシップに徐々に怖さを覚えてしまったのはいつからだろうか。彼はいつだって光で、綺麗で、優しくて、あたたかい。だからこそ、その光を間近で浴び続けた自分の視界は色を無くす。
11/1/2025, 10:00:58 AM