織田

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真冬、川で遊んでいた。
冷えた流れが指先を鈍らせる。
でも僕は構わず水をすくっていた。
すくった水に、小さな感触があった。

水は手のひらからじゃぶじゃぶとこぼれ落ちた。
まだ感触はあった。
透明、な何かだ。

この17年、本物の“透明”を見たことはなかった。
僕の知識が浅かったようだ。

世間の透明は半透明で、この透明こそが本物だった。

僕も“透明”であれば、
半透明でなければ、
この状況にはならなかった。“透明”に出会えなかった。
まるで哲学だ。

さて透明は、何なのか。
触覚だけに集中した。

触り心地は、いい。
やわらかくあたたかい。
すべすべしてふわふわしている。

指をすべらせ形をなぞる。

いやまてあたたかい?
真冬の川から拾ったのに?

これまた僕の知識は浅かったらしい。

さて形をなぞった。
これは羽根。透明な羽根。

誰の羽だろう、透明な羽根。
天使かな、天使かもしれない。
この川には天使がいる。

なんてこった、必然だったらしい。

僕は川に飛び込んだ。
真冬の川に。
でも大丈夫、あたたかい。

透明な羽根、僕のもの。

11/8/2025, 2:05:38 PM