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あなたは窓側の席

私は彼の後ろの席

11時~14時くらいの時間の太陽は
窓側の席の人達の眠りを誘う
それは私も例外では無い。
まぶたが重くなってきていた。

目線を黒板ではなく目の前に向けると
明るい髪色をした頭が上下に動いていた。

「ここ問題をじゃあ23番の人解いてみて」

なんて先生が言ってることすら聞いてなかった。

「ねぇ,当たってるよ。」

いつの間にか前の席に座っている彼が振り向いて
私に言ってきた。

「...えっ,はい。」

やばい全然聞いてなかった。
みんなの視線が私に向いていて
なんで聞いてなかったのか後悔した。

「えーっと...。」

「ここ。」

前の席の彼が自分のノートを指していた。
指している所を答えると

「正解。」
と先生の声が聞こえて私は安堵した。
彼にお礼を言おうとして前を向くと
もう彼は前を向いたいた。



キーンコーンカーンコーン

授業終了のチャイムがなった。
今まで先生の声や
先生に当てられたら生徒の声しか聞こえなかった
教室は生徒の声で溢れかえっていた。

「あの,さっきはありがとう。」

私がそんなことを言うと

「あぁ,いいよ。この時間眠くなるもんな。」

彼はそう言って笑った。

"私はその時彼に心を射抜かれたんだと思う。"

彼は私にでも優しくしてくれた。


私は大体の確率でバスに乗遅れる。
そのため教室で時間潰しのため
課題をやるなんて日常茶飯事だった。
しかし,頭がいいわけじゃない私には
応用問題を解くことができなくて,

「あぁもう,わかんない。」
なんてひとりで机に伏せて呟いていたら

「何が分からないの?」
聞こえるはずがない彼の声がして思わず顔を上げた。

「教えてあげる。」
優しい声は2人しか居ない教室で響いてドキドキした。

いつもはチャラチャラしてる
陽キャなのに
優しいとことか
勉強出来ることとか狡い。
と思いながら私は彼に勉強を教えてもらった。


私の隣に座って教えてくれるところ。

しっかり私の目を見て話してくれるところ。

いつもはしないのにメガネをかけているところ。

前の席に座る彼の勉強している姿が新鮮で
私の脈は大きく波を打った。


私はどんどんあなたに落ちていくみたい。





─────『落ちていく』

11/23/2022, 2:22:11 PM