彗皨

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貴方は、命を落したいと思ったことはありますか?___

いいえ、答える必要は無いんです。
誰かにとっては悪問であり、誰かにとっては良問であるのですから。

私?私ですか?
貴方も中々、極悪ですね。
それでは、少しお話をしましょう。


ある人は、家庭が裕福で友達も沢山。
お金もそれなりに兼ね備えていて、人気者。
もう一方のある人は、家庭は複雑で友人も少ない。
お金には相当困っているようですね。とても人気者とは言えません。

さて、ここで一つ訊きたいことがあります。
貴方は、一体どちらの人生を選びますか?_______


かなり悩んでいるようですね。
でも、貴方が悩んでいるのは「どちらの人生を選ぶか」では無く「どちらを選べば自身の価値が上がるのか」でしょう?

いえいえ、人間の心理です。
そんな事、私からすればお安い御用ですよ。
それで、答えは決まりましたか?


なるほど、貴方は面白い人間ですね。

「他の人と回答が違うのか」?いえ。滅相もございません。
貴方の回答はごく一般的な回答でした。

ただ、やはり人間は価値を捨てることは不可能と気付かされたのですよ。
質問よりも自身の価値を尊重するだなんて、人間とは愚かなものですね。

では、初めに戻りましょうか。
あれ、まさか忘れただなんて言わせませんよ?

「貴方は、命を落したいと思ったことはありますか?」
この質問に対して、私の回答がまだだったはずです。

私はそうですね、無いと言えば嘘になります。
「何か悩みがあるのか」?
ふふ、おかしなことを言いますね。
私に悩みなどはございません。

ただ、命よりも価値。という人間の思想に当てはめたとき、命を落としても可笑しくない話だと思ったのですよ。


"いつまでも捨てられないもの"

8/18/2023, 12:49:13 AM