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十年後、私は二十六歳になっている。高校どころか大学すらも卒業し、社会人として生きていかなければならない年齢だ。

…たまに考えてみるのだが、私は、十年後ふと、今の生活を思い出して、どんな気持ちになるのだろうか。「あの頃に戻りたい」?それとも「あの頃にはもう戻りたくない」?

今の私は、十年前になんて戻りたくない。それは、今の私が大好きだから。今の私に満足しているから。…もちろん、まだまだ伸び代はたっぷりあるし、もっともっと自分を成長させていきたいという気持ちもある。

愚かで、純粋で、無垢で、一日、一月、一年が無限にあるように感じられた、あの頃。家が、学校が、近所の公園が、世界の全てだと本気で信じていたあの頃。

今よりも、一緒に遊ぶ友達は多かった。でも、今は一人でいてもずっと楽しい。今よりも、ゲームが大好きだった。でも、今は音楽を聴いている方がずっと楽しい。

人は変わっていく。一ヶ月、いや、一週間ですら変わってしまう。十年後。今の私はもはや、存在しないのかもしれない。でも、確かに、十年後の私の中には、今の私が生き続けているはずだ。

今の私にとっては何気ないことでも、十年後の私にとっては、かけがえのないものになっているのかもしれない。それは、まだ誰にも分からない。

2/15/2024, 12:17:24 PM