【あの子と虐め】
[あの日の温もり]←要素少ないですが、お許しを!あと、夏の話あります。
《本編》
「あーあ、失敗しちゃった。」
そんな声が誰も居ない教室に響いた。
「いい案だと思ったのに…。プランも完璧だったのになぁ。」
「どこが悪かったんだろう?」
一つ前の夏休み。僕が補習帰りに見た衝撃の景色。もうカンカン、と踏切が鳴っているのには関わらず、目の前を横切って…夏には似合わない真っ赤な血飛沫が飛んだ。僕が想いを寄せていた子。大好きで愛してた唯一無二の子。思わず、もう死んでいるであろう身体を抱きしめた。あの人間らしい温もりは無く、冷たいただの死体になっていた。
いつもの
「また明日、じゃあな!」
と言ってぎゅっ、と抱きしめてくれたあの温もりは無かった。
夏休みが明けて__原因が分かったらしい。過度な虐めだったんだって。多分、僕の虐めはただの虐めとは違うんだ。
嗚呼、なんて同性愛に厳しい世界だろう。あの子は元々、あの子は僕のような男では無く…女が恋愛対象らしい。それを聞いた瞬間、身体に稲妻が落ちたような衝撃が走った。「僕はただの<友達>なんだ」認めざるを得なかったその事実。ただただ苦しかった。でも、僕はどうしてもあの子に僕の事を愛して欲しかったから…虐めを始めた。何故か?依存して欲しかっただけ。その<友達>って言う立場を利用した。プランはこうだ。
虐めを始める→苦しむ→僕に助けを求める→依存
のはずだった。机に花瓶を置いたり、ズボンやシャツを切ったり。でも助けは求めてくれなかった。苦しくさせすぎた、?あるいは…僕がやったことがバレてたのか?でも、いつも通り帰りはハグしてくれたから無いと思いたい。僕は苦しく無かったのか、と言われたらそうでも無い。苦しい、辛い…と言うよりは早く依存して欲しい。その一心だった。でも、目の前てあの子が死んで以来、自分のやったことを後悔した。僕とあの子は高校生。高校生って、大人に少しずつなる時期だが、まだまだ子供だ。そこの区別が付かなかった…と言っても、もう起こってしまったことなんだから、何度後悔しても何も変わらない。
それで、考え出した結果が…<同じように死ぬ>だ。それで、ある程度償えると思うし…。あの子ともあの世で会えるのでは無いか?と考えた。
早いところ死んだ方が良い、と俺は思ったんだ。それで、あの踏切へ行った。運転はこの前再開したらしい。もうそろそろ電車が来る。心の準備はとっくに出来ている。あ、電車が来た。
「ねぇ、今からそっち行くからね、…」
ガンッ、そんな大きなものがぶつかる音がした後、あの頃と同じような血飛沫が飛んだ。
“END”
3/1/2025, 3:26:21 AM