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 寂しさを覚えるときは一人でいるときよりも人といるときが多い。
 子どもの頃の友だちの輪に入れない寂しさから始まり、大人になってからも雑踏や催しなど人の群れの中にいると、ふと寄る辺ない気持ちになる。
 
 集団の中にいると、いやおうなく個を意識させられるからだろうか。その場を楽しんでいるつもりでも、スッと冷める瞬間がある。
 年齢を重ねると上っ面は人と合わせることを学習するけれど、合わせることに負荷を感じる度、他人と自分との間にある壁を意識する。

 誰と一緒にいても一人。
 和して同ぜず、同じて和せずなんて言葉もあるが、そんな立派なものではなく、要はいつでもどこでも浮いてしまう、馴染めない人間ということかもしれない。


『寂しさ』

12/19/2023, 7:10:55 PM