しろ

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「やさしくしないで」

彼女はいいたかった。

これ以上、優しい言葉をかけないで。
叶わぬはずの未来を期待してしまうから。

二人に未来はない。
いつまで経っても平行線。
その線と線は近づいたかのように思えても、すぐ離れていく。

彼女の描いているのは理想。
現実が見えていなかった。

本当のその人の姿、内面を。

それがわかったのは、とあるものを一緒に見に行った時。
彼女はその人と同じ感性だと思っていた。そう信じていた。

だから、彼女の好きなものもその人はきっと好きなはず。

でも、違った。
隣にいるはずのその人は離れた場所にいた。
まるで、見知らぬ他人のように。

その時、目が覚めた。

また、間違えた。

そう、彼女はいつも間違った方を選択してしまうのだ。

自分の好きなものを人に紹介するのは、共感できる人かそうでないかを知るいい機会である。

でも、それは時に残酷で、
そんなはずはない、と
残像にしがみついてしまう。

でも、今の彼女はもうそんなことはしない。

キッパリと線引きできるようになったのだ。

そう、もうきっと間違った方は選択しないだろうし、

たとえしてしまってもそれは些細な出来事でいつでも修正できるはずである。

2/3/2025, 11:24:59 AM