「今日は月が綺麗ですね。」
紺色の空に浮かぶ三日月を見上げながら、君はそう言った。
細くて今にも消えてしまいそうなのに、見えない月の縁に確かにしがみついている明るい弧。その儚くも力強い姿に胸を打たれる。そう伝えた。
「見えないから綺麗なんです。」
君はそう答えた。
三日月の夜、月はその縁の一部分しか姿を見せてくれない。未知の領域が多いからこそ、無限の可能性を秘めている。だから、三日月は想像力を掻き立てる。
君の言葉の意味を自分なりに解釈してみたけれど、君のことは何もわからなかった。だから、もっと君のことを知りたいと思った。
今日は、三日月が綺麗だった。
遠い君へ
1/9/2024, 1:33:28 PM