小音葉

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ガラスを隔てて、レースに隠れて
小さく跳ねる塊を見る
気取られぬよう、そっと、静かに
ベランダで囀る小さな塊
触れればきっと熱いほどなのだろうけど
自由な君に羨望を
けれど、静寂と平穏に浸かった怠惰に甘え
私は今日も飛び立てない
それで良いんだ、と珈琲を飲みながら

美しい幻想に影と彩りを
世界を描き出す神のような人がいる
きっと遅すぎることなんてなくて
手を伸ばして、太陽と月を見送って
そうしたら服の裾ぐらいは握れるかもしれないけれど
寄り道ばかりの散歩は楽しくて
日陰から見える世界も結局どこか汚れているけれど
窓辺の小鳥は今日も変わらず愛らしいから
甘いカフェオレを買って帰ろう
踏み締める土の柔らかな音に、ひとときだけ癒されて
人生なんて、きっとそんなものだ

(届かないのに)

6/17/2025, 10:36:04 AM