郡司

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暗がりの中で…だと?

物理的な暗がり・押入の中のドラえもん
心理的な暗がり・自分の内のまだ見ぬ領域
霊的磁場の暗がり・できる限り避けるべし

私が子供のころ、祖父母は山の中で暮らしていた。街灯なんか無い。ひねりスイッチの裸電球が部屋の灯り。夜に寝るときは祖母が部屋の灯りを消して、やっぱり裸電球が灯っている廊下へ出て部屋のドアを閉める。すると部屋の中は、眼前に手を広げてもまったく見えない闇になる。私は布団を頭まで被って身体を丸めるようにしていた。

闇も完全になると、不思議と怖くない。怖いのは真っ暗闇じゃなくて、アイツだ。カマドウマ。

ぴょーんと跳ぶアイツ。ベンジョコオロギとも呼ばれている。真っ暗闇の中でも景気良く跳ぶけどさ、アイツ着地点とかちゃんと見えているのか?
顔に着地とかすっごいヤなんだけど。
私は早く眠ってしまおうと、頑張って身体を丸める。かすかに聞こえるアイツのジャンプ関連音で自分からの方向と距離を測り、「やだなぁ」と思いながら眠りへ逃げ込む。

「暗がり」と言うには次元の違う真っ暗闇、生き物どうしの思惑と行動はいつも、「通常運転」だ。

10/28/2023, 2:44:19 PM