澪つくし

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昭和の幼少期
木枯らしが吹く日でも
しもやけになるまで
毎日 外で遊んでいた

とある日
近所の線路を伝って
どこまで行けるか
友達2人と弟の4人で 
ちょっとした冒険に出た

着いた先は 隣町
見知らぬ神社の階段で
持参した風呂敷をマントにし
姉弟 対 友達での戦いごっこ
やがて勝ち敗けでケンカになり
友達2人は 帰ってしまった
……………
冬の夕暮れが 突然顔を出し
真っ黒な神社の森が 
背後から追いかけてきた
風呂敷のマントをつけたまま
泣きじゃくる弟の手を引いて
昼来た道を引き返す
だけど 
楽しく来たはずの線路は
どこまでも暗く果てしなく
繋いだ弟の手が 
ここを戻っちゃダメ! と 訴える     

木枯らしに凍えた涙が
紅くひび割れた頬を
ヒリヒリと容赦なく突き刺した

痛い…寒い…怖い…
帰りたい…おうちに帰りたい…

…おかあさん…おかあさんっ!!…

途方に暮れる
日も暮れる…
冬灯(ふゆともし)の 迷い道


            #木枯らし

1/18/2024, 4:29:00 AM