つち

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「手のひらの宇宙」


宇宙は今も尚、無限に広がっているらしい。
テレビ番組だが、ネットの情報だかで見たことがある。

無限に広がる星空を眺めながら、
そんなことを思い出した。

今目に映る夜空でさえ、膨大なのに、もっともっと拡張しているなんて、途方もない気持ちになる。

美しい星空に触れたくて、手を伸ばしてみるが、当然届きそうにもない。

無限に広がるのであれば、こっちに届くぐらいにも、広がってきてほしい、なんて無理なことを考える。

ぼんやりと、眺める。
あれば冬の大三角形...
あそこの星、1番輝いてる。
あのステッキみたいな、横棒にしか見えないのは、
確か牡羊座。私の星座だ。

遠くから星空を堪能する。
そろそろ戻ろうかな、と身体を起こす。
ずっと上を眺めていたから、首が痛い。
首を回しながら、息を吐く。
白い吐息も星空に消えて、なんだが一部になったようだった。

冬の空は綺麗でいつまでも眺めていられそうだが、何せ寒いもの、身体が冷えて堪える。
美しいものを見るためには、それなりの代償が必要なのかな。

玄関へ向かう途中、水に入ったバケツが目に入る。
狭くて丸いが、そこに先程まで見ていた宇宙があった。

そっと水面が揺らないように、手のひらで水をすくう。
あまりの冷たさに、身が縮まる。
震えで水面が揺れるが、必死に抑える。

冷たさとの戦いの末、手のひらの揺らめきがおさまる。

届くわけが無いと思っていた宇宙が、

私の手のひらの中にあった。

1/18/2025, 5:46:07 PM