小林涼太

Open App

絶望の雨



都市対抗野球の帰路
終電に間に合わせようと
必死で帰った

神宮球場の帰り客もいて
総武線の電車は溢れる
途中、人身事故で
予定よりも遅れていく

なんとか乗り込んだ
最寄りへの電車
あとはタクシーに乗ればいいだけ

ホームに降り立ち
駅舎を出た
前の客を乗せて出発する
タクシーの姿

白いズボン
傘を持っていない僕
外は猛烈な雨の音しか聞こえない
一瞬にして絶望の雨となった

この雨に佇みながら
帰り方を考える
タクシー会社に電話をかけるが
つながらない

歩くことにした
ビニール傘を買って
闇にかき消されながら
トラックに泥をはねられながら
ずぶ濡れのまま歩き続けた

日が変わって
1:10、家に着いた
あの絶望の雨は
一生、忘れない




8/27/2024, 11:48:42 AM