SAKU

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空模様を確認しようとして、吐いた息が視界を染めた。身体が温まっていて気付かなかったが、だいぶ冷えてきていた。
頬を自らの指で触れると鈍い感触で、顔も冷えていた。
チラとみると、先ほどまで相対していた人物の頬も赤くなっている。目を少し丸くし、疑問を口にされたので、天気が崩れるかもしれないことを伝えた。
空に顔を向けて、先の自分と同じく目を凝らして雲の様子を確認している。
外にいるのも頃合いかと並んで宿に足を向けると、黒い粒のように見える鳥が数羽、飛び立っていった。そろそろ冬の始まりが近い。
渡り鳥だろうか。故郷に帰るのかもしれない。なんて、正解も何もわからないただの予想だけで中身のない話をしながら、ゆっくり歩く。
歩調は自然に合っていて、なんとなく相手の好物の甘いものでも作ってやるかな、と揺れる頭髪を見てみた。
暖かな甘いものがいいだろう。食事の後にフォンダンショコラは重いだろうか。

曇天の雲は厚く、雪が降るかもしれない。

7/17/2024, 7:18:35 AM