「疲れた…………」
紫のもやが晴れて、そうして戦いが終わったあたしは膝から地面に崩れ落ちた。少しだけ心配そうにマスコットがあたしの顔を覗き込んだ。
『今日の敵はめんどくさかったね。運が良くないとどうにもならない』
「今日のあたし、運全然良くなかった……」
『そうだね。ほぼ全て外したんじゃないかい?』
マスコットの言った通りだった。結界内に入ったあたしは中がゲームセンターみたいな景色なことにまずちょっと驚いて、更に追い討ちをかけるようにいつもは一体しか出てこないのに、何故か今日は沢山の敵が出てきた。あたしとマスコットが異例の事態で慌ててるのに、どこから流れてきた音声は『本物以外はニセモノ。いくらニセモノを倒したって結界から逃げられない』なんて言われた。
そこからは地獄だった。一体一体は避けるのがちょっとだけ大変な攻撃を仕掛けてくるだけで、いつもよりは幾分も楽だったけれど、それが大量に襲ってくるとなれば話は別で。倒しても倒しても襲ってくる敵を倒しても全てニセモノだった。
「なんか、寒かったし……」
『ペナルティだって言ってたね。無我夢中で手当り次第倒しているように見えるから、と』
「聞いてなかった。いつ言ってた?」
『それが無我夢中に手当り次第の現れなんじゃないかい?』
「うるさい」
冬なのに冷房がついてるみたいなレベルの風に見舞われて、すっかり手足は冷えきってしまった。たまたま本物にぶち当たってなければそのうち満足に戦うこともできなくなってたかもしれない。
「あー寒。帰ってあったかいのでも飲んじゃお」
『明日から学校だろう? 宿題は終わったのかい?』
「うるさーい!」
あたしはそう言いながら思い切りほっぺを膨らませた。
第十一話 寒さが身に染みて
1/12/2026, 12:19:57 AM