「僕の将来の夢は佳奈ちゃんと結婚することです!」
幼稚園に通ってる時に宣言してそれから17年。
「駿さんは、末期の胃がんです。」
医者にそう宣告された。頭が真っ白になった。
それからは気づけば入院の手続きが進んだ。
あとはもう病院で過ごすだけだ。
入院した当初は向日葵が咲いて太陽の日差しが強かった。でも、今は桜が咲いている。時は待ってくれないのだと、狭い病室で痛感した。
「駿、おはよう。どう?」
佳奈の声だ。瞑ってた目を開ける
「おはよう。いつも通りさ」
「そっか。今日ね──」
佳奈が外のことを話してくれるが、もう聞きたくない。
好きな人の声なのに聞きたくない。
しんどいな。適当に相槌を打って話を終わらせよう。
「佳奈」
「んー?」
「幸せになれよ」
「……うん」
返事までに間があった。そりゃそうだ。あの時交わした約束──「佳奈と結婚する」という約束を守れてないのだから。
そこで会話が終わった。空調機の音がやけに大きく聞こえる。
「私、帰るね」
「うん」
そう言って佳奈は俺の病室を出た。
「佳奈、ごめんな。俺以外の人と幸せになれよ。俺のこと忘れてくれ」
そう呟いて、目を閉じた。
それから駿が亡くなったのは1時間後だった。
枕元には佳奈への手紙。震えた文字で
「幸せになれ」
そう書かれていた。
風が吹き、窓から桜の花びらが手紙の近くに落ちた。
まるで、最期のプレゼントみたいに
「幸せに」
4/1/2026, 5:04:33 AM