海の底は、いつも静かだ。
耳鳴りみたいな水圧が全身を包んで、余計な感情から順番に
潰してゆく。ここでは、泣くことも、叫ぶことも、多分…
許されていない。
私はずっと、ここに沈んでいる。
貴方の笑顔を初めて好きだと思った日から少しずつ、確実に。
貴方は光のある場所にいる人だった。
友達に囲まれて、簡単に名前を呼ばれて、誰かの期待に応えるみたいに笑う。その笑顔が大好きだった。でも、私はその後ろで、気付かれない泡みたいに浮かんでいた。
好きだと言えない理由を、私は何百回も考えた。
嫌われるのが怖かった。
関係が崩れるのが怖かった。
でも1番怖かったのは、貴方が困った顔をすることだった。
だから私は何も言わない。言葉を胸の奥に沈めて、重りを
つけて、深く、深く。
海の底では、時間の感覚が曖昧になる。
貴方が誰かを好きなことも、付き合ったことも、全部、水越しに歪んで見えそうで。その度に、私の胸に水が入ったような、苦しい感覚になる。
「大丈夫ですか?」
そう聞かれて、「大丈夫」と答えるたび、私は少しずつ死んでいったと思う。
もしあの日、好きだって言っていたら。そんな仮定は、もう
何度も溺れた。でも多分、結果がどうであれ、私はここに沈んでいたんだと思う。
貴方を好きになった時点で、私はもう海に入ってしまっていたから。
海の底には光がない。でも、貴方の背中だけは、今でもはっきり見える。手を伸ばせば届きそうで、絶対に届かない距離。
私は今日もここで、呼吸の仕方を忘れたまま、貴方のことを
想ってる。重くて、冷たくて、でも暖かくて。
「恋」だと認める勇気もないまま。
海は答えてくれない。
ただ静かに、私を底へ底へと引きずり込むだけだから___
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お久しぶりです…!作者の♡♡です。約1ヶ月ぶりになって
しまい、申し訳ないです…߹𖥦߹
これからもボチボチですが、投稿していくので、よろしく
お願いします!
꒦꒷ ✝︎ ❥ ------------------------- ❥ ✝︎ ꒷꒦
テーマ 海の底
1/20/2026, 10:59:13 AM