真岡 入雲

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【お題:夜明け前 20240913】

ふと、目が覚める。
静かに眠るあなたの肩の向こう側、細く開いたカーテンの隙間から覗く白んだ空。
起きるにはまだ早く、眠るには目が冴えてしまった、そんな夜明け前。
寝静まっていた世界が動き始めるよりも、ほんの少しだけ早い時間。

静かに上下するあなたの胸にそっと手を乗せ、あなたの呼吸と共に私の手が上下するのを、ぼぅっと眺める。
人肌の温もりがこんなにもあたたかいものなのだと、教えてくれたのはあなた。
誰かに包まれ守られることが、こんなにも安心できるものなのだと、教えてくれたのはあなた。
誰かを信頼することが、こんなにも強くなれることだと、教えてくれたのはあなた。
幸せな時間は短く感じるのだと、教えてくれたのもあなた。

『ありがとう』

この一言だけでは、感謝の気持ちを伝えきれなくて。

『愛してる』

この言葉だけでは、私の気持ちを伝えきれなくて。

今日が始まる前に、あなたに伝えたい。
私はあなたと一緒にいられる、それだけで幸せ。
今日が終わった後で、あなたに伝えたい。
私はあなたと一緒にいたい、ただそれだけが望み。

そっと、静かに。
あなたが起きないように、あなたの唇に指を這わせて、自分の唇にその指を這わせる。
あなたのその唇で紡がれる、愛を伝える言葉が好き。
あなたのその唇から発せられる、艶めいた吐息が好き。

もう少しして今日が始まれば、慌ただしく時間が動き出す。
それまで私はこの時間を楽しむ。
あなたに触れ、あなたの温もりを感じ、あなたと同じシーツの波間で、この止まったようなゆったりとした、今日でも、昨日でもない、夜明け前の私とあなただけの時間を。


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(´-ι_-`) この後、目覚めた『あなた』にキスの嵐をお見舞いされるのデス



9/14/2024, 2:08:02 AM