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【失恋】

忘れられない日だった。好きと言った日。離れないと誓った日。そしてそれを覆された時だった。

「…私のこと、ちゃんと、愛して、くれてたんだよね…?」

不安に押し潰されそうだけど、それでも聞いておきたかった。嘘だと信じたかった。…それで後悔するとしても。

「利用する為だよ。君を使って入り込み、要らなくなれば捨てる。それは、君だって理解してたんだろう?」

ああ、やっぱりそうなんだ。何度も繰り返す出来事、会話。この人も、やっぱり他の奴と変わらないんだ、と

頭が冴えていく。なのに見渡す限り全てが真っ白で辺りを見渡しても変わらず白い空間が続いている。一点を覗いて。声がする。音がする。その近くには物も何も無く、ただ孤独と虚無感に押し潰されそうな【無垢で穢れを知らぬ幼い】自分を、何処か他人事の様に見詰めていた。
「──、─────────。───────────────────。」
はは、ばっかみたい。結局変わらないんだよ人なんて。
「おねえちゃんは、おこえがでないの?」
問い掛ける幼い私に薄ら笑いを浮かべて言葉を返す。
「──。─────────────。──────────────。」
そう。私はお話出来ないの。声を失ってしまったの。
「どうしてなくなっちゃったの?わたしになにかあったの?」
何も無いよ。心配しないで、まだ、眠っていた方がいいよ。ここは明るいけれどまだまだ外は暗いんだ。
「でもおねえちゃんがいるならわたしはほかのところにはかえれないんだよ」
…なんだそれは、知ったことでは無い。帰りなよ。
「やだ!おねえちゃんと、もうはなれないの!ひとりになるの!」
私と、わたしが?離れぬようにひとりに、なるって?バカ言わないで。さっさと戻って生きなさい。
「わたしはもうしんじゃった。まもろうとしてくれてたおねえちゃんのきもちはぜぇんぶきづいてるよ。でもね、こころがね?きずだらけだったの。たえられなかったの」
それで、今の状況が生まれたわけね。そう、そうなのね…ごめんなさいね、私が弱かったわ。もう少し、強くならなきゃね。
「おねえちゃんはもとってもつよいよ。こんなに、くだけちゃうまで、ずうっとがんばったんだもん」
……私、頑張った?ちゃんと、【私】をまもれてた?
「うん、まもれてたよ。お姉ちゃん」
わたしね、もうね…つかれちゃった…休みたいの…
「うん。お姉ちゃんは頑張ったよ。もう、休んでいいんだよ。これからは、私がお姉ちゃんの分まで生きるから」
うん…うん、休む、休んで、また…また笑えるまでは休んで、いつか私は【私】と一緒に居れるようになりたいな。
「えぇ、無理をさせて、ずっと代わりをさせてごめんなさいね。今までずっとありがとう【幼さを隠した私】」
もう、わたしが呼ばれないと、いいなぁ…よぶのは、ずうっとさきにしてね?
「勿論よ。貴女が休めるまで、ずうっとね」
うん、じゃあ、もういくね?
「ありがとう、もう、貴女に頼らないわ。別の形で、きっと会いましょう?」
うん、おねえちゃん。きおつけてね、わたしも、あえるのたのしみにしてるっ

___さようなら、愛しくて可愛らしい偽りの私


「久しぶり。本当の私。」

6/3/2023, 8:03:29 PM