Ryu

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結局最後まで、君の仲間になれなくてゴメン。
修学旅行ではあんなに意気投合したのに、日常に戻ったらまた少し距離が遠ざかって。
なんか、熱が冷めたっていうか、冷静になって考えたら、まったく違うタイプの人間なんじゃないかと思えたりして。
残りの学生生活は、それぞれがそれぞれの仲間とつるんで、言葉さえ交わすことは無かったね。

高校を卒業して半年後、君が集団暴行で逮捕されたと聞いた。
君がリーダー格で、高校時代からの仲間を集めての犯行だったと。
僕がそこにいなかったことに何の不思議もないが、いたとしても不思議はなかったのかもしれない。
何故って、あんなに意気投合したのだから。
タイプは違えど、分かり合えたのだから。

今となって何の思いがあるわけでもないけど、人生は分岐路だらけで、勝ち組も負け組も選択によって振り分けられる。
どちらの仲間になるか、その最終選択は自分に委ねられるとしても、そこに辿り着くまでの経験や思いが、正しい決断を歪めてしまうことだって起こり得るだろう。
僕の両手に、重たく冷たい手錠がかけられる選択。
僕達はきっと、いつだってイカゲームのように決断を迫られながら、信じたり裏切ったり裏切られたりを繰り返して、生きてゆくのだろう。

いつかこの、仲間になれなかったことを懺悔する青臭い感情を、最良の選択だったという喜びに変えられる日がきっと来る。
修学旅行でともに笑い合った、アイツの屈託のない笑顔は忘れられなくても。

9/9/2025, 12:23:58 AM