サイコロ

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―溢れる気持ち―

何気ない日々、何気ない日常、何気なく過ぎていく時。そんな代わり映えのしない、何気ない日常は平々凡々であると言えるだろう。だから、いつものように、今日という日も、昨日や明日と同じ箱にしまい込もうとしていた。ただ、学校に行って、いつものように、何気なく授業を受けて、何気なく友達と笑って過ごす。

けど、笑っているのに、幸せなはずなのに、いっぱい遊んでいる。それなのに、なんか、なにかが、心の奥底で渦巻いているような、違和感があるような、気がしていた。

そういえば私、SNSの綺麗な写真集を見て、「この場所綺麗だな」「羨ましいな」「私の周りにこんな綺麗な場所ないな」とか思ってたっけ。

そのとき、「君」が脳裏に浮かんだ。

「見て、空が綺麗だよ」

だなんて、何気ない日常の一部であるそれを、心の底から綺麗だと目を輝かせている君。その時は軽く受け流していたはずなのに、気づけば私は、いつのまにか、君に感化されていた。

何気ない日常の一部として、どうでもよかったはずだったのに。

これまで知っていると思い込んでいたはずの世界に、ふいに色が宿る。

音が流れ、光が差し、草木が唄い出す。

君の笑い声が鮮明に聞こえる。

立ち止まる理由もないはずなのに、影ですら美しく見えた。

見える。聞こえる。

当たり前だと思っていた感覚が、今になって一つずつ輪郭を持ちはじめる。

世界はずっとここにあったはずなのに、今日になって、ほんの少し広がった気がした。

その瞬間、何気ない、という言葉は、
私の中で意味を失った―――。


題名:【世界というキャンバス】

2/6/2026, 6:14:31 AM