-ゆずぽんず-

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🌿‬こんばんは🌿


今日は、秋に詠んだ詩がまだありましたのでお届けいたします🍊



『灯りのあわい』

錆た梢が
白刃の風に
小さく震える

色を落とした
綿の群れが
南へ悠久の旅をゆく

光を背負い
空を渡ると
濃淡が

そっと
地肌を歩く

流れ来る喧騒に
葉擦れが囁けば

枝の影から
ふいに弾ける細い声

黒く沈む道
肌を刺す風が抜ければ
砂粒がひそりと囁き

影がほどけていく

身を抱いて
家路を急ぐ丸い背に
烏がひとつ
鳴いて発つ


乾いた声

晩秋の落葉が
軽やかに駆けまわる

時の狭間で
袖口に注ぐ熱

悴む人波へ
そっと
触れる

首を重く下げる
行き交う街の鼓動
手を揉みしだき
白い吐息に
温もりを手繰る

曇る白窓に
淡い灯りが滲んで
辺りを照らす

開いた口から
家路に漂う
夕餉の湯気が

街にほどける

白立つ湯桶に
からだを沈める
気配がにじむ

暖をもとめて
僅かに早んだ靴音が
眠り支度の街に
弾んで溶ける

遠くで
食卓の光が
小さくーー
灯った

12/7/2025, 12:34:29 PM